英国の民主主義に拍手




 英国が分裂するかもしれない。ほんの数年前まで、そんなことを考えた
こともなかった。もちろん、歴史的な経緯はあるにせよ、ナチスを相手に
一致団結、最後まで屈せず戦い抜いた国民である。
 しかし、それはどうも、イングランド的な見方であったらしい。

 結果を見れば、やはりスコットランドは賢明な判断をしたと言えるだろう。
経済、雇用、安全保障、EU加盟・・・そのいずれをとっても、独立後の環
境は厳しい。ことに、中東地域の紛争が激化している現状では(多数の
英国籍の人間が 「イスラム国」 に流れ込んでいることを見ても)、英国が
現状を維持し続けることが、英国のみならず世界にとっても重要である。

 独立派は夢半ばで破れた結果だが、キャメロン首相から、自治権拡大
の約束を取りつけた点では前進が見られた。これは独立派だけではなく、
独立否定派にとってもメリットであるから、結局、スコットランドは多大の
成果を上げたと言ってよい。
 キャメロン首相は土壇場で焦って、大きな譲歩をしてしまったが、そん
な懐柔策に打って出ずとも、スコットランドは独立を否定したに違いない、
と私は思う。

 そんなアレコレを思うにつけ、やはり、こうした住民投票が行われたとい
う事実自体に感動を覚えずにはいられない。為政者により言論を封殺さ
れ、抑圧され、生存を脅かされている世界の状況を見るだに、英国は今
も、偉大なる民主主義の国であると実感する。

 そのことに限っては、キャメロン首相は大いに評価されるべきと思う。

 スペインを始め、世界各地で 「民族自決」 の名のもとに独立運動が活
発化している。このスコットランドの投票結果がどのような影響を及ぼす
か、注視しなければならない。
 そして我が国にとっても、「対岸の火事」 では済まされないかもしれない。
例えば、もし 「沖縄が独立したい」 と主張したらどうなるだろうか? その
時、日本国民はどんな民主的な対応が取れるだろうか?

 思いもよらないことが起きる、それが世界の常識である。

 折しも今年は第一次世界大戦開始から100年の節目の年にあたる。
歴史は繰り返すというけれど、世界情勢がその当時と非常に似通ってい
るように思われるのは、果たして私だけだろうか?

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