サウジアラビア 第三世代への王権移譲が確定




共に皇太子であった二人の兄、スルタンとナイフが相次いで死去したため、
タナボタ的に皇太子となり王位を継承したサルマン新国王。

次の皇太子には異母弟のムクリンを立て、副皇太子には自身の息子では
なくナイフの次男ムハンマド(現内務相)を据えた。
スルタン、ナイフ、サルマンは共に先代のファハド国王を父に持つ同母兄弟
で、 母は初代アブドルアジズ国王の妃ハッサ(有力部族スデイリー家出身)。
ハッサが産んだ息子7人は「スデイリー・セブン」と呼ばれるサウジ最大の財
閥を形成し、権力の中枢を掌握しているが、王位を独占的に移譲しているこ
とには批判的な見方も当然ある。

今回、異母弟であるムクリンが皇太子に立ったことは、そうした国内におけ
る不満のガス抜き的色彩が強いと思われるが、問題はその後だ。副皇太子
に兄ナイフの次男が立ったことで、いわゆる第三世代への王位継承は確実
に進んだと言えよう。これは即ち、「スデイリー・セブン」の安定的権力掌握
を重視した戦略であって、この路線は今後も変わらないだろう。

 では、その後はどうか?ムハンマドが皇太子になった時、誰が副皇太子に
なるのか?

 私としては、スルタン元皇太子の息子で、駐米大使を長く務めたバンダル・
ビン・スルタン王子(現在は国家安全保障会議事務総長、国王顧問)の処遇
が気になるところ。シリアのヨルダン大使によると、「王子がアルカイダの実際
の指導 者である」とのこと。シリアで用いられた化学兵器は王子が手配したも
のだ とか、イスラエルに出向いてモサドの長官に会ったとか、ロシアに乗り込
んでプーチン大統領を恫喝したとか、何とも驚く報道ばかり。
 やり手の王子には黒い噂が絶えないが、それこそがサウジアラビアの体質
そのもの。必要とあらば二枚舌でも三枚舌でも使って利権を確保。海千山千、
一筋縄ではいかない。

サウジとアメリカの関係に隙間風が吹きつつある現状で、「イスラム国」の対
応にサルマン新国王がどんな手を打ってくるか。注目してみたい。

私の創作『太極之譜』にもサウジアラビアの王子が出て来るのだが、その出
自は、第三代国王ファイサルの孫(第四世代)という設定にしてある。肩書き
としては、一応王位継承権を持つ殿下(H.R.H)ではあるけれど、国王になる
ことは・・・何しろ第三世代の王子は250人以上いるから、100%無い(笑)。

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