後世への遺言 『荒れ野の40年』




ワイツゼッカー元ドイツ大統領が亡くなった。

氏の演説、『荒れ野の40年』 を岩波ブックレットで初めて読んだのは、
もう20年以上前のことだ。

その時の衝撃と感動は、今後も決して忘れることはないと思う。

まだお読みでない方は、是非一度手に取って頂きたい。

それにしても、昨夜のニュースで氏の訃報が伝えられた際、TBSの人
気アナウンサーが「荒野(こうや)の40年」と原稿を読んだのには愕然
とした。
「荒れ野(あれの)の40年」とはもちろん、イスラエルの民がモーセに率
いられて荒れ野を40年間、放浪した苦難の年月を指す言葉だが、この
アナウンサーはうっかりと、自分の無知をさらけ出してしまった。
まあ、「こうや」でも「あれの」でも、意味としてはどちらでもいいようなも
のだが、こうした慣用句を上手く用いることが出来ないようでは、業界人
として如何なものだろうか?

「罪の有無、老幼いずれを問わず、われわれ全員が過去を引き受けね
ばなりません。だれもが過去からの帰結に関わり合っており、過去に対
する責任を負わされております。
 心に刻みつづけることがなぜかくも重要なのかを理解するために、老
幼たがいに助け合わねばなりません。また助け合えるのであります。
 問題は過去を克服することではありません。さようなことができるわけ
はありません。後になって過去を変えたり、起こらなかったことにするわ
けにはまいりません。しかし過去に目を閉ざす者は結局のところ現在に
も盲目となります。非人間的な行為を心に刻もうとしない者は、またそう
した危険に陥りやすいのです。」  

「若い人たちは、互いに敵対するのではなく、互いに手を取り合って生き
ていくことを学んでいただきたい。
 民主的に選ばれた我々政治家にもこのことを肝に銘じさせてくれる諸
君であってほしい。そして範をたれてほしい。
 自由を尊重しよう。
 平和のために尽力しよう。
 法を遵守しよう。
 正義については内面の規範に従おう。」

     『荒れ野の40年―ウァイツゼッカー大統領演説全文
                     1985年5月8日 (岩波ブックレット)』より

故ワイツゼッカー元ドイツ大統領のご冥福を心より祈念しつつ。

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